Dec 9, 2016
晩秋の良く晴れたある日、M様のお宅を訪ねました。
ご新築の折、家具の構想から4年、家具をお納めしてから2年がたちます。
設計にあたって御夫婦が望まれたのは
お庭を身近に感じられる住まいにすること。
リビングの壁一面の大開口と、5.6mという天井高で
その思いを実現されています。
ふとお庭に目をやると、みかんがたわわに実っていました。
駅前とは思えないほど静かで緑豊かなこちらの敷地には
ご自宅の他に、ご両親が住まわれる母屋と
お父様が開業され、M様御夫婦、お姉様が継がれたクリニックが
お庭を囲むようにして立っています。
御夫婦にはお子様が3人いらっしゃり、大家族の御一家です。
白い壁とナチュラルな明るい色の内装が
自然光いっぱいのお部屋をさらに明るく感じさせています。
TVボードやソファーは、焦げ茶色を選んで落ち着いた雰囲気に。
壁の絵は、お父様がお好きな鈴木信太郎氏の油絵です。
ゆったりしたサイズのソファーでは、ご家族の会話もはずみそう。
こちらのコーナーには、マルケッティ社のセンターテーブルFG655と
パフMM509Bを合わせています。
FG655は、木の節にレジンを埋め込んで木肌を大胆に生かした仕上げ。
パフMM509Bには隠しキャスターがついていて、
サイドテーブルのようにも使える優れものです。
ラグはトーンを抑えたペルシャ絨毯。
マヒ柄と言われる魚が跳ねて泳いでいるデザインが繊細に表現され素敵でした。
ソファーの後ろに見えているのがダイニングルームへの入り口。
リビングよりステップを3段ほど上がると
キッチンとリビングから独立したダイニングルームです。
こちらも壁二面の大きな窓から明るい陽射しが降り注いでいます。
窓のロールスクリーンは天井部分にすっきりと収納されて
お庭の景色をきりとるフレームのよう。
奥様が「家の中で一番好きな場所」とおっしゃっるのも納得です。
壁のニッチには、今は画家として活躍するアビターレの元スタッフ
出久根ちせさんの絵画『金魚』が飾られていました。
ダイニングテーブルとチェアはマルケッティ社製。
御夫婦とご一緒に、お姉様やお母様と皆さんで
お選び下さったのを懐かしく思い出します。
シャビーな風合いの焦げ茶の革を張っています。
アームチェアーは、アームと脚のカラーを変えて少し個性的に。
脚のアイアン飾りが魅力的なダイニングテーブルはFG616。
仕上げに選んだOliatoは、汚れが目立たたず扱いやすいとおっしゃっていました。
またM様ご家族は、お母様の手料理を囲んで
ご両親様、お姉様御夫婦と会食をなさることも多くあるとのこと。
220cmから段階的に340cmまで伸長できるので
大家族でも余裕の大きさです。
テーブルの上の温かい御馳走と、ご家族の笑顔が目に浮かんでくるよう。
実は、M様のお姉様とは以前からアビターレとお付き合い下さっており
2008年4月の『お客様宅訪問』でご紹介させて頂いています。
御実家もあわせて3世帯で、それぞれのテイストに合わせて
アビターレの家具をご愛用頂いており、大変光栄です。
また、お姉様はリフォームをお考えということですので
私共も今から楽しみにしております。
さて、ダイニングルームの奥には、大きなアイランドカウンターを備えた
キッチンがあります。とても使い勝手が良さそうです。
ダイニングへ戻りましょう。
窓の正面に建物が見えます。
リビングを挟んでダイニングと向き合っているのは、
御夫婦が大切になさっているもう一つのお部屋。
M様のおじい様のお宅の一部です。
ご新居を建てられる前、ここには100年近い歴史を持つ
おじい様の大きなお宅がありました。
M様は、そのお宅を残すことを希望され
建物の一部を基礎から持ち上げて移築する「曳家」という手法で
ご自宅の離れとして受け継がれました。
障子や欄間、床柱など、使えるものは洗いに出して
また元の場所へ戻されたのです。
障子や欄間の細かな細工も素晴らしく、
凛とした和室の空気には身が引き締まるようでした。
縁側からの中庭の眺めです。
そして惜しくも解体された部分の梁からは、
新しく階段の踏み板ができました。
その木肌の美しさは、100年たったものとは思えないほど。
また、扉の引手にも古材を利用しています。框のないシンプルでモダンなデザインです。
階段下、リビング中央にはおじい様の箪笥があります。
ここには四季折々の物を飾っています。
階段の下は秘密基地のような雰囲気もあり、
お子様がおもちゃをもって自然と集まってくるのだとか。
写真の左にあるのは蝶々の 象嵌がポイントのチェアーMM512
では、階段を上がってみましょう。
吹き抜け上部の通路は主寝室のテラスに通じています。
ちょこっと座ったサンタさんが見えますでしょうか。
こちらはその通路よりリビングを見下ろしたところ。
リビング全体はすっきりしたモダンな印象です。
デコラティブな要素がないシルエットと、統一感のとれた色調なので
シンプルな潔さを感じます。それでも冷たい印象にならないのは
グリーンや絵画、テキスタイルなどの小物を
上手に選んでいらっしゃるからだと思います。
2階ホールにはライブラリー。
水色のアクセントウオールの前にカウチを置いて読書です。
この廊下の先は、洗面室、お風呂場、そして3人のお子様のお部屋へと続きます。
Nちゃん6歳、Yくん4歳、Kちゃん2歳。
それぞれにお部屋がありますが、
まだお小さいので御兄弟一緒やご両親様と過ごされることも多いようです。
カーテンは、お母様がそれぞれのお子様部屋に合わせて
タッセルまで可愛らしくお選びになりました。
御長女は来年から小学生です。
たくさんのお友達を連れていらっしゃる日も近いですね。
そして階段ホールをはさんで反対側の主寝室にお邪魔します。
大きな窓の外にテラスがあるシックなお部屋です。
カーテンは雰囲気に合わせて焦げ茶の光沢のあるものを選ばれました。
ベッドの奥に見えているのは御主人の書斎。
少しだけのぞかせて頂きました。屋根勾配を生かした秘密のお部屋のようです。
そしてベッドは、アビターレでも定番のマルケッティ社製FG126。
FG126は、ウォールナット製。
シングルからキングまでサイズオーダーができる上に
ヘッドとフットの高さを変えたり、仕上げを変えたりと自由度が高いのが魅力です。
M様はヘッドを濃い焦げ茶、フットをナチュラルな木の色にされました。
ベッドの対面には、ベット部分と同じ仕上げのチェストTC193/Pを
テレビ台として置いていらっしゃいます。
マルケッティ社製にしては珍しく、36cmと奥行きが浅めで
引き出しが5杯もついているので、寝室で重宝しそうです。
モノトーンを基調にした主寝室は、
お医者様としてご活躍の御夫婦が
日々のお疲れを癒すのにふさわしいお部屋でした。
ゆっくりとお話しを伺っているうちに日が暮れて参りました。
ここでお庭へご案内して頂きました。
ライトアップされたアプローチ。
南天に紅葉、ドウダンツツジ。この季節ならではの植物が目を楽しませてくれます。
そしてお庭に回ると…
薄暗い夕方の景色にM様邸があたたかく浮かび上がっています。
もうすぐご家族の御帰宅の時間。
こんな素敵な景色が出迎えてくれたら、とため息が出てしまいました。
ここでM様が一本のザクロの木をご紹介下さいました。
おじい様の代からお庭にあるもので
ことのほかお好きだとおっしゃっていました。
樹齢100年以上、幹はごつごつと粗い表情、支えも必要ですが
まだまだ秋にはたくさんの実をつけてくれるそうです。
今年の秋の写真を見せて下さいました。
こちらは11月末の雪化粧のお庭の写真です。
そしてもう一つのザクロをご紹介します。
玄関ホールに置いて下さったコンソールFG659です。
数ある種類の中から、取っ手に選んで下さったのがザクロでした。
ザクロは西洋絵画の中によく描かれる果物の一つです。
「再生」の象徴として聖母像に描かれることもあります。
硬い皮の中にたくさんの種が入っていることから
豊穣(多産)と繁栄の象徴とされてきました。
おじい様のザクロの木が、お庭の中央から
ご家族を静かに力強く見守っていらっしゃるようです。
おじい様から続く思いを、お父様、そして今はまだ小さなお子様たちも
きっと受け継いでくれると思います。
《アビターレ取扱商品》
Marchetti
センターテーブル FG655
パフ MM509/B
アームチェアー MM504
チェアー MM503
チェアー MM512
ダイニングテーブルFG616
ベッド FG126
コンソール FG659
Marchetti以外
スツール
ベッドマットレス関係
カーテン
絵画
小物一式