「アビターレ」の誕生は、私とマルケッティ社との出会いに始まります。1991年春、心ときめく家具を求めてイタリアの家具屋めぐりの旅をしていた私は、ミラノの郊外の小さな家具屋でマルケッティ社の家具とキッチンに偶然出会いました。そこで目にしたのは、何とも言えない渋い艶の出たウォールナットの重みのある家具で、見た瞬間、心の中の深い部分が刺激されるような感じを受けました。私はさっそくマルケッティ社に電話を入れましたが、「輸出には興味が無いので、来てもらっても意味がない」とあっさり断られてしまいました。それでも諦めきれない私は工場まで押しかけることにしたのです。
マルケッティ社はベネト州のCITTADELLAという小さな町にありました。電話ではつれない対応だったのに、実際に訪問すると意外にも社長が出てきてくれました。社長はフランカという当時40代前半の女性です。こちらから訪問の意図を伝えると、「文化や生活習慣の違う国で自分たちの作るイタリアの家具が本当に喜ばれるかわからない。生きている木が赤道を通って旅する間にどのように変化するのだろうか、またイタリアのお客様の家具作りに忙しく、日本向けに家具を作る時間があるだろうか?」とやはり輸出には積極的ではありませんでした。とは言うものの家具を扱うもの同士、日本とイタリアの家具作りの技術や伝統などの話をするうち工場を案内してくれる事になりました。自然乾燥させている想像を超える大量の材木、工場の廃物利用の乾燥機、ドイツ製の木工機械、そして手作業の残る工場のラインすべての説明を受けながら見学させてもらいました。さらに1日だけの約束でマルケッティー社の家具写真集も借りる事が出来ました。この日はイタリア人の文化を受け継いでいく姿勢、モノを大切に扱う心、モノ造りに対するこだわりに触れ、本当に感激した1日でした。
左:チッタデッラ全景 右:夜の市街
翌日、話し合いは思ったよりスムーズに進んで日本向けに家具を作っ てくれる事が決まり、前の晩遅くまでかかって写真集から選んだ家具を注文しました。そして待つ事4ヶ月、マルケッティの家具がついに日本に到着したのです。CITTADELLAの工場を約2ヶ月前に出発した家具の梱包を解き、もう一度磨き直してみると、期待通りの渋い輝きを放ってくれました。はるばるイタリアからやって来たこの家具が、これから日本で長く生き続けるのだと思うと感激もひとしおでした。当初、この家具はアビターレの親会社である(株)山新でデビューしました。イタリアンウォールナットの無垢材は日本人にも好まれ、また木の味わいを残した仕上げ方も好評で、予想以上の評判を得ることができました。気候風土の違いによる木の割れや反りも予想していた範囲でおさまり、フランカの心配は取り越し苦労に終わりました。その後、毎月のオーダーも1コンテナベースで安定してマルケッティ社とも信頼関係を築くことができました。そして日本での販売も4年目を迎えたころ、この家具を日本の方にもっと知ってもらいたいという思いが強くなり、同社の家具を専門に扱うショップとしてアビターレをオープンすることになったのです。
マルケッティの一番の魅力は、他のクラシック家具とは違う、技巧的過ぎない、その大らかさにあると思っております。それゆえに寛容で、どんな場所に置いても違和感を生じることもなく、他に置く家具との兼ね合いも難しくありません。フランカの心をそのまま形にした家具はモノではなく、住む人に寄り添う様にその人のものとなっていきます。これからもこの不思議な魅力を持つマルケッティ社の家具を日本に広く紹介し、暖かく心地よい空間創りのお手伝いをしていきたいと思っております。
(株)ヤマシン・インターナショナル代表取締役 山口暢子
会社情報
商号 | (株)ヤマシン・インターナショナル |
所在地 | 茨城県水戸市千波町2292 |
設立 | 1964年7月 |
資本金 | 1,000万円 |
代表者 | 代表取締役 山口暢子 |
主要取引銀行 | 三菱東京UFJ銀行 恵比寿支店 常陽銀行本店 |
関連会社 |
代表取締役
山口暢子
いつもアビターレをご愛顧いただき、ありがとうございます。早いもので、1997年のオープン以来13年が経ちました。開店したばかりの何の信用もないお店を信頼してお買物をしてくださるお客様方に支えられ、なんとかここまで来ることができました。心より感謝しております。オープン当初より、マルケッティー社の家具を中心に品揃えをしておりますが、そのスタイルは、イタリアの伝統的な家具から、最近では独創的なモダンなスタイルに広がってきています。昔をご存じのお客様には多少の戸惑いがあるかもしれませんが、素材感とその造りから温かみを感じる家具である所は全く変わっていません。アビターレはこれからも、「スタイリッシュなのに、心から寛げる空間」、をお客様のお好みに合わせてご提案していきます。何卒、よろしくお願いいたします。
店長
辻本恵
"何世代も語り継がれる家具" アビターレは、2009年5月でオープン14年目を迎えました。よく十年一昔といいますが、私も10年以上アビターレで時を共にしてきました。ショールームにおりますと、いつまでも変わらないマルケッティの家具に囲まれ、時の流れが止まっているように感じることがあります。しかし、数年ぶりに御来店いただくお客様とお会いすると驚きの瞬間があります。御新婚のお二人からお子様が増えにぎやかな楽しい御家族の光景を目にするのです。何とも幸せな気持ちになります。ここ最近も家具のメンテナンスのお問合せをいただくと、お客様が大事に家具をお使いいただいているご様子が目に浮かびます。また、ご新居や別荘をお建てになる節目に家具を御検討いただくお客様も多く、家族団らんの生活の一部にアビターレの家具が存在することを嬉しく思います。アビターレの家具が、いつまでもお客様の傍に置いていただけるよう、少しでもお役に立ちたいと願っております。
スタッフ
吉本真由美
現代の日本はモノが溢れ家具を大切にする習慣はうすれゆく中、ヨーロッパでは、親から子へと代々受け継がれた古い家具をとても大切にする習慣があります。それはとても素敵なことだと思っていました。そんな中、マルケッティ社の家具と出会い働くことになりましたが、マルケッティ社の家具は木材ならではのぬくもりや安心を感じることができ、何世代も受け継がれる家具であると自負しています。この家具の良さを多くの方に知ってもらえるようにご紹介していきたいと思っております。
スタッフ
山神尚子
アビターレの家具に初めて触れたとき、ふいに何年も前に住んでいたフィレンツェの景色が目に浮かびました。透き通るような青空とグレーの石畳。当時私は学生で、家具工房や額縁工房の店先をのぞいては、埃まみれで働く職人たちの姿に惚れ惚れとしていました。その職人たちの姿が急に蘇ったようでした。アビターレの家具は、その家具につながる職人の手のあとや、景色、その木が育った森まで想像させるような、不思議な魅力があると思います。その魅力と併せて、私がイタリアから頂いたものを少しでもお伝えしていきたいです。また家庭を持ってから、住まいの大切さを感じるようになりました。家具は暮らしに寄り添い、長い時間を共にできるものです。本当に居心地の良い空間、親しい人と語り合い微笑みあうところに、アビターレの家具があるならば、それは本当に嬉しいことです。その空間作りのお手伝いが出来ればと思っております。
スタッフ
堂園順子
“大好きな家具を一人でも多くの方にお届けしたい”1997年5月3日アビターレのオープンの日、私は散歩の途中偶然店に入りました。そこには今まで知っている家具とは違う優しい家具があり、居心地のよい空間がありました。この家具と共に暮らしたい、この温もりを日本中に伝えたい・・・その後私はスタッフとしてアビターレと同じ歳月を重ねてきました。時代の流れと共にデザインは変化していきます。しかし、根底に流れる人を包み込む優しさはずっと生きています。今、私は軽井沢の自然の中に暮らしつつアビターレの仕事を続けています。アビターレの家具が都会の中でも自然の中でも暮らしにぴったりと溶け込む事を改めて感じています。ゆったりとした時間を求めて来られる方に、これからもこの温もりをご紹介できればと考えています。